GOMZ-LOMO社が製造した高級カメラ、LENINGRAD(レニングラード)は、 ロシアカメラマニアの間では比較的有名なモデルである。 GOMZは英語で表記すれば、State Optical-Mechanical Factoryの頭文字 を採ったもので、さしずめ「連邦光学機械工場」とでもなろうか。一方 LOMOは同じく英語表記で Leningrad Optical and Mechanical Union を意 味し、「レニングラード光学機会企業」となる。1930年前後、ロシアでは 様々な光学機会メーカーが合併吸収して設立された。GOMZは1932年に設立 されたロシアでも古参の光学機会工場であり、これをベースとして設立さ れた会社がLOMO社である。 GOMZ-LOMO社の代表的な製品といえば、現在でも若い人に大変人気の高 いSMENA(スメナ)シリーズがあげられる。1952年からリリースされたこ のシリーズは、現在でも製造が続いているようで、特にSMENA-8Mは通称 「スメハチ」として、日本のショップやインターネットで購入することが 可能だ。また、少し前に爆発的なブームを呼んだ、LC-AもLOMO社の製品で ある。これなぞはもう説明する必要も無いくらい、各種メディアに取り上 げられて有名になってしまった。ところで、GOMZ-LOMO社で忘れてはなら ないモデルが、ロシアカメラの中でも高級版としてリリースされたこの LENINGRADである。 LENINGRADは、一般的には1956年〜1968年の期間製造されたということ になっている。しかし、一部では1953年に既にプロトタイプが存在したと いう説もあり、マニアの間ではミステリーになっているそうだ。 LENINGRADは、1956年〜1968年の12年間に、70,000台が製造された。当 時としては高級カメラに属し、西側ヨーロッパ諸国にも多数輸出されたそ うである。1958年には、Brussels Universal Exhibitionというショーで グランプリを受賞したという実績も持つそうだ。その筐体は極めて大きく 存在感は抜群だ。 LENINGRADには、カメラ本体にゼンマイ駆動のフィルムフィーダーを搭 載しているため、フィルムの巻き上げは、ゼンマイが巻き取りドラムを駆 動することで行なわれる。撮影枚数が増すに従い、巻き取りドラム径がだ んだん太くなってくるので、コマ間隔が広くなって行くというシロモノで ある。また、1秒間に3コマの速さで12枚連写することもできた。 ファインダー部には、倍率0.68のガリレオ式ビューファインダーを搭載 し、35mm、50mm、85mm、135mmのフレームに対応していた。さらに、9〜15 秒設定のコンタックス・キエフタイプのセルフタイマーとフィルム自動カ ウンタも内蔵するという、豪華な仕様であった。本体下部には転倒防止用 のレバーが付いており、カメラを水平に置く際にはこのレバーを出してお く。カメラの裏蓋は、全面が外れるタイプだ。 LENINGRADには、標準でJUPITER-3、50mm/F1.5もしくはJUPITER-8、 50mm/F2.0が搭載されている。基本的にLENINGRADは、スクリュー径が 39mmのレンズであれば使用可能であった。掲載したモデルには、JUPITER- 3、50mm/F1.5を搭載しているが、望遠が必要な場合には、JUPITER-9、 85mm/F2.0を搭載した。 掲載したモデルのシリアル番号は、00994と極めて若い番号であり、発 売初期のモデルと思われる。
メーカー | GOMZ−LOMO社 |
モデル名称 | LENINGRAD |
製造期間 | 1956 - 1968 |
総生産台数 | 70,000 台 |
掲載モデルの製造年 | 1956 年 |
掲載モデルのシリアル番号 | 000994 番 |
シャッタースピード | B、1、1/2、1/5、1/10、1/50、 1/100、1/250、1/500、1/1000 |
搭載レンズ | JUPITER-3 50mm/F1.5 JUPITER-9 85mm/F2.0 |
搭載レンズのシリアル番号 | JUPITER-3:5502844、JUPITER-9: |
搭載レンズのマウント形式 | ライカ・スクリューマウント |