KMZ社のZORKI-3には、3、3M、3Sが存在する。これら各モデルの違いを 簡単に述べると、以下のようになる。 ・3 :低速シャッターと高速シャッターが別ダイアルのモデル ・3M:低速シャッターと高速シャッターを1軸に統合したモデル ・3S:3Mをベースに軍艦部デザインを変更し、シンクロ接点を設け たモデル これら各モデルの発売時期、製造台数は以下の通り。 タイプ 製造期間 製造台数(−は不明) ZORKI-3 1951 − 1954 3と3Mを合わせて87,569台 ZORKI-3M 1954 − 1956 ZORKI-3S 1955 − 1956 45,572台 ZORKI-3Mは、ZORKI-3で分離されていた低速と高速シャッター設定ダイ アルを、1軸に統合したモデルである。その他の機能は、ZORKI-3に準拠 している。発売期間が比較的短かったこともあり、今となってはレアなモ デルであると言える。3と3Mとは本体正面のロゴとスローシャッターダイ アルの有無の他に外観上特に異なった違いは見受けられない。 ZORKI-3Mの軍艦部分の造形はZORKI-1と良く似ているが、ZORKI-1よりも かなり高さがある。そのため、ZORKI-1シリーズのようなコンパクトさは 感じらない。ZORKI-Sの軍艦部もかなりの高さがあるが、3Mの軍艦部はSと 比較して複雑な形状になっているため、より迫力がある。 ZORKI-3Mの特徴である1/1のファインダーは大きくて見やすく、二重 像も極めて鮮明に確認することができる。ファインダーには視度調整レバ ーも備わっている。レンズにはJUPITER-8、50mm/F2.0が標準で搭載され る。このレンズはZeiss Sonnar(ツァイス・ソナー)のコピーモデルとし て有名だ。レンズキャップにはROWIの42mmキャップが流用できる。 ZORKI-3Mは、1軸式のシャッター設定ダイアルを搭載した最初の製品で あったため、構造が複雑となり故障が多いと言われたモデルでもあった。 シャッタースピードはB〜1/1000まで、実に11段階にも設定することが 可能で、特に低速側での設定が充実している。このシャッターメカは、そ の後より洗練されたデザインのZORKI-4に踏襲されて行く。ZORKI-3Mの発 売後、、軍艦部のデザインと操作性を一新したZORKI-3Sが登場する。 ZORKI-3Sは、機能的にはZORKI-3Mをベースにしているが、シンクロ接点と 25msまでのシンクロセレクターを有していた。 ZORKI-3Mは非常に重く大きい筐体のカメラであるため、気軽にスナップ 写真を撮影するという用途には向かないものの、いかにもロシアカメラら しい質実剛健な感じを与える製品である。なお、ZORKI-3の発売年は、 ZORKI-2よりも3年前となっている。
メーカー | KMZ社 |
モデル名称 | ZORKI−3M |
製造期間 | 1954 - 1956 |
総生産台数 | 87,569 台(但し3と3Mの合計総数) |
掲載モデルの製造年 | 1955 年 |
掲載モデルのシリアル番号 | 5513431 番 |
シャッタースピード | B、1s、1/2、1/5、1/10、1/25 1/50、1/100、1/250、1/500、1/1000 |
搭載レンズ | JUPITER-8 50mm/F2.0 |
搭載レンズのシリアル番号 | 5641320 |
搭載レンズのマウント形式 | ライカ・スクリューマウント |