2003年春号:濃い系 Psion の世界 #2
Psion HC110



 前号から「濃い系Psionの世界」と称して、あまり知られていないPsion製の端末を紹介する特集を始めたのだが、第一回目で取り上げたPsion Sienaについては、国内にも意外とユーザーが多かったようで、筆者の廃人仲間からは、「濃い系」とは言えないのではないかとの指摘もあった。

 そこで今回は、がらりと趣向を変えて、産業用途向きのヘビーデューティー端末であるPsion HC110を紹介することにした。Psion製の業務用端末としては、Workaboutが知られているが、HC110は、その前の世代の端末である。この製品の面白いところは、民生用のPsion Series3などと同じEPOC-OSを搭載しながら、ビジュアルシェルは採用しておらず、コマンドラインでの操作が基本となっていることだ。Psion製の端末で、DOSライクなコマンドを入力するというのは、不思議な気持ちがしたものである。

 こうした特徴にも関わらず、プログラムの互換性は比較的高く、Series3用の日本語エディタであるJEditも、軽微な修正で移植することが可能であった。HC110専用の拡張モジュールなどもハードウェア的な互換性を重視した設計となっており、このあたりにPsion社の見識の高さが窺える。

 今回の前フリでは、四輪ミニカーのATV50を取り上げた。購入した知人に乗せてもらったのだが、小さな車が大好きは筆者は、すっかり気に入ってしまい、一時は真剣に購入を検討したほどであった。しかし、既にFIAT500とHONDA BEATを所有していることもあり、ギリギリで踏みとどまったのは、今にして思うと正解だった。費用の問題もあるが、何と言っても運転者の身体は一つしかないのだ。






Psion Workaboutのカタログ
Psionが1995年に発表した業務用端末の「Psion Workabout」のカタログ。

Psion HC110
サイズ比較のため、前号で紹介したPsion Sienaと並べてみた。プロポーションからキー配列まで全く性格が異なる端末である。

Psion HC110の正面と裏面
質実剛健という表現がピッタリの表面。製品の銘板シールが貼られた裏面。何の色気も無い...。

Psion HC110のキーボード
クリック感はないが、電子的にクリック音が出る仕組みになっている。QWERTY配列ではないので、文字入力は辛い。

Psion HC110のインターフェース
2台のHC110のそれぞれに搭載されていたインターフェースモジュール。1台はケース上部に、もう1台はケース下部に搭載されている。どちらのモジュールも抜き挿し自在だ。

クレイドルとの高速通信ポート
右側面に8個並んだ金色の接点がクレイドルとの高速通信に使われる。その右隣には、外付けACアダプタの入力端子がある。

インターフェースモジュール#1
このように本体から簡単に取り外すことができる。

インターフェースモジュール#2
本体とモジュールとは、筐体内部でヘッダピンを介して接続される。

HC110のSSDスロット
裏側のカバーを開けると、メインバッテリーの左右に2基のSSDスロットが搭載されている。

メイン・サブバッテリースロット
サブバッテリーのリチウムコイン電池は、本体下部のインターフェースモジュール取り付けスロット内部に収納される。非常にわかりにくい場所にある。

リセットスタート画面
リセットスタートをかけると、SSD内に自動起動ファイルが存在しない場合、この画面が表示される。

コマンドプロンプト画面
このマシンは、EPOC OSを搭載しているにもかかわらず、あたかもDOSのようなコマンドプロンプトが表示される。

WINlink3
HC110のようなちょっと古めのPsionでは、PCとの接続用ソフトとしてWINlink3を利用する。

Serial Linkケーブルの接続
Serial Linkに付属するケーブルからポッド部分を取り除き、直接HC110のRS232Cコネクタに接続する。

Yellow ComputingのWIN link3
Windows XP上で動作するWIN link3。バージョンは2.0.4。

WIN link3の接続画面
HC110との接続確立後の画面。HC110の内蔵ドライブA、B、Mが確認できる。

HC110用日本語エディタ HCEdit
横17文字x縦7行が編集用エリアとして表示される。基本的な使い方は、Psion s3用のJEditと同じ。

HCEditのクレジット画面
現在のバージョンは、Ver1.1(2002/09/16)

HCEditのポップアップメニュー
ファイル選択メニューを表示。

サンプルプログラムの実行画面
本文中のサンプルプログラムの実行画面。最大サイズのウィンドウを開いて、その中にテキストを表示するだけという単純なプログラム。

HCクレイドル
HCシリーズ専用の巨大なクレイドル。

クレイドルへの装着状況
取り付け、取り外しはワンタッチで可能。

HCクレイドルのインターフェース
PCとHCクレイドルとを接続するインターフェース部分。この部分にもHC110本体に搭載するものと同じモジュールが利用されている。

HCクレイドルのインターフェースモジュール
このように必要に応じてインターフェースモジュールを交換することが可能。HC110本体に使われているモジュールを流用することもできる。

ガンタイプのバーコードリーダー
専用のインターフェースモジュールと組み合わせて利用する。

四輪ミニカー ATV-50
普通免許で乗れるミニカーのATV-50。こんな車が公道を走行できるということに驚きを感じてしまう。

ATV-50 FRONTIER
プロジェクタータイプの二灯式ヘッドライトを備えた正面。その面構えは、あたかもガ○ダムか攻殻○動隊か?といった雰囲気。

ATV-50 REAR
ナンバーは原付スクーターと同じく市区町村役場に登録を行う。ただし、ナンバープレートの色は水色。

後輪のディスクブレーキ
オプションでディスクブレーキまで搭載できるATV-50。これを見る限り、ブレーキはFIAT500より立派だ。