PC WAVE 誌初登場の記事である。当然、原稿の書き方などは全く知らなかった頃の記事であったため、今読み返すとかなり恥ずかしい内容だ。取り上げたマシンは香港 ABC Computer 製サブノートパソコン、BICOM SL60 である。1993 年 3 月に 訪れた香港電脳中心で購入したもので、サブノートパソコンというジャンルの製品が皆無であった当時の日本では、非常に珍しい存在であった。購入したところは、香港シャンスイポーの「高登電脳中心(Golden Computer Center)」にある、百嘉電脳公司(PAKER COMPUTER Co.)というショップで、価格は9270 HK$(約14万 円)であった。日本では、プロサイド(株)が、内蔵 HDD の容量を 80 MB にアップした製品、BSL80 を発売していた。
SL60 のスペックであるが、CPU には 80386SL(25 MHz)を使用している。内蔵 メモリは、2MB しかない。Windows3.0 用ドライバソフトが付属しており、Windowsを動かすことも可能なのだが、2MB では当然メモリ不足で、起動は不可能である。ディスプレイは、640×400 の、ダブルスキャンCGA(DCGA)を採用しているた め、DOS/V をそのままインストールすることはできない。そのため、DCGA 対応の ディスプレイドライバ、DISPDC.SYS を使用する。本記事では、日本語環境の構築 と、動作確認が取れた日本語ソフトについて、紹介している。なお、この BICOM SL60 というマシンは、非常に故障の多い製品らしく、ネット等の書き込みを読む と、トラブルに見舞われている人が非常に多い。筆者のマシンは、幸いにもトラブル無く動作している。個人的には、タッチタイピングが可能なキーボードがとても気に入っている。
PC WAVE本誌の特集記事は、第一特集が「光モノはいまが旬!」で、第二特集が 「日本語版OS/2 2.1 のすべて」であった。本誌には、付録として「OS/2 J2.1β CD-ROM 引替券」が付いていた。当初は、最近の雑誌のように、CD-ROM 媒体を本誌に付けて販売する予定であったのだそうだが、当時はこうした方式での雑誌販売は前例が無く流通上混乱することが考えられるため、雑誌取次ぎ協会からメディア添付での販売を中止してほしいとの申し入れがあり、止むを得ず「引換え券付き」という変則的な販売となったという経緯がある。このあたりの事情も、時代を感じさせるものがある。
本誌内に掲載されている、「マルチメディアPCを自作する」という記事では、i486 DX/2 66MHz、メモリ4MB、VL バスマザーボード、Cirrus Logic GD5426 ビデオカード、Quantum 525MB HDD、等速 CD-ROM ドライブのキットで、448,000円という価格が付いている。Megahertz 社の XJACK PCMCIA モデムカードが出現したのも、この頃であった。PC Blue WAVE では、HP 社の OmniBook300 が、PCMCIA 2.0 スロットを4個持つ究極のサブノートPCとして紹介されている。