新日本電気株式会社(NECホームエレクトロニクスの前身)が発売していた 電源タイマー、TK−68。NECといえばコンピュータ、しかもTK型番とく れば、あのマイコンブームの先鞭を付けたトレーニングキット「TK−80」を 思い出してしまうのだが、これは全く関係が無い商品で、時間が来るとAC電源 をONにしたりOFFにしたりする装置である。おそらく昭和40年代の製品。 この商品の面白いところは、時計部分が電気仕掛けでは無くゼンマイ巻きの機 械式である点だ。本体からはACコードが出ているので、これはてっきり電動時 計が内蔵されたタイマーかと思ってしまうのだが、さにあらず。さすがにNEC では機械式時計のムーヴメントを自社で供給することはできないため、リズム時 計のメカを搭載している。まさに、企業間のコラボレーション商品と言えよう。 本体はクリーム色と寝ぼけたピンク色のツートンカラー。しかし、なぜ昭和 40年頃の製品には、このような寝ぼけた配色のものが多いのだろうか?まあ、 そこがかえって郷愁を誘うのだが。
使い方は簡単である。前面パネル右側には、「時間がくれば」という表示があ りその右側に窓が開いている。本体側面には回転可能なACコンセントが設けら れており、コンセントを回すと窓の表示が「入」「切」と変わるような仕掛けに なっている。まず、電源をON/OFFさせたい時間を、通常の目覚まし時計と 同じ要領で設定する。次に、電源を制御させたい電気製品のコンセントを、この 側面のコンセントに挿す。時間が来たら電源を「入れる」のか「切る」のかの制 御をコンセントの回転によって行い、表示窓で動作を確認した後に、本体正面の ダイアルをセットの位置に設定すれば完了である。 本体背面の銘版を見ると、定格は125V−12A。かなりの大電流を制御す ることが可能である。本体前面パネルに記載されているNECのロゴは、現在よ りも1世代前のものであるが、本体背面に記載されているロゴは、ひし形マーク の中にNECと記されており、2世代前のものとなっている。