■ キャンバー 数字そろばん ■


キャンバー 数字そろばん セット構成

キャンバー 数字そろばん 加算時

キャンバー 数字そろばん 減算時

                                    
 純メカニカルな計算機、キャンバー数字そろばんである。製造元は「創美株式
会社」というところ。取り扱い説明書には、「手軽な理想的サイズ」「手荒な操
作にも耐える機構」「そろばんと違って答の記録性」「近代的なデザイン」「小
銭で買える大衆価格」といった謳い文句が記されている。しかし、「大衆価格」
という表現は、すごいものがあるな。製造年は不明であるが、おそらくは昭和4
0年代の製品と思われる。そろばんと同じで電気に頼る部分が一切無く、電源不
要で使用できるのは、これはこれでけっこう便利かもしれない。       

 本体上面には、6個の数字窓と6列のスリットが付いている。このスリットの
各桁には、0から9までの数字が印刷されている。スリット部分は穴が開いたベ
ルトのような構造になっており、この穴に付属のペンを挿して、上下にベルトを
移動させることが可能となっている。スリットは左右に移動できるようになって
おり、加算時「+」には数字は黒で、減算時「−」には数字は赤で示される。 
スライド方向は、加算時は下、減算時は上となる。             

 使い方は、わかってしまうと簡単で、加算の場合には被加数をセットした後、
加数をセットし、桁上がりがあれば隣の桁を1つスライドさせて、窓に表示され
た結果の数字を読み取るといった具合だ。減算時はスライド方向が逆になるだけ
で、基本的には同じインターフェスとなる。                
キャンバー 数字そろばん 背面

キャンバー 数字そろばん 側面

                                    
 一例として、非常に簡単な加算「8+7=15」をやってみよう。数字そろば
んのセット方法は、以下の写真に示した通りの手順となる。タイガー手回し計算
機と異なるところは、桁上がりは人間が記憶しておき、発生したら1つ上の桁を
操作しなくてはならないことである。なにぶん、この計算機の構造は単純至極で
あるため、桁上がり、桁下がりの制御まではサポートしていない。これはそろば
んと同じことだ。                            

 ある程度慣れれば、掛け算も比較的容易に行うことができる。添付されている
取り扱い説明書には、「463×84=38892」といった、かなり複雑な計
算方法も記載されている。                        

 構造が簡単であるため、本体は非常に軽くて小さい。しかも電源不要で、物理
的な破壊は、まずありえない耐久性がある。電卓が世に出る前の時代では、これ
はこれで結構重宝していたのではないだろうか?また、電卓と異なり、計算時に
は少しだけ頭を使わなくてはならない点も評価できる。これを常用しておけば、
暗算や得意になるだろう。                        
「8+7」の計算方法、ステップ1。まず被加数「8」の穴にペンを挿す。

ステップ2。そのままペンを一番下まで移動させると、数字窓には「8」が表示される。

ステップ3。次に加数である「7」の穴にペンを挿す。

ステップ4。そのままペンを一番下まで移動させると、数字窓には「5」が表示される。この時、最下位桁でオレンジ色に表示された「1」が、1周回って上に表示されたことに注意。これは、桁上がりが発生したことを示している。

ステップ5。ステップ4で桁上がりが発生しているので、2桁目を「1」だけインクリメントさせる。2桁目の「1」にペンを挿して、一番下まで下ろす。

ステップ6。数字窓を見ると、加算結果である「15」が表示されている。これで計算終了!

数字そろばん 取り扱い説明書 #1

数字そろばん 取り扱い説明書 #2



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