海外出張の際に、機内持ち込みが可能な小型カセットプレーヤーの必要性を感 じたSONYが、1979年7月に発売したウォークマン。これはその初代モデ ルであるTPS−L2。ウォークマンといえば、「WALKMAN」のロゴが本 体側面に入っているものだが、本製品は1979年に発売された最初のモデルで あり、このロゴはまだ付いていない。「WALKMAN」のロゴが付くのは、翌 年1980年発売のモデル以降となる。本体には専用のヘッドホンが付属するが このヘッドホンは現存しているものが極めて少なく、一説によると本体以上にレ ア度が高いそうだ。ここに掲載したウォークマンも、ヘッドホンはとうの昔に消 滅してしまったようで、付いていない。以下に主な規格を示す。
トラック方式 | 4トラック2チャンネル ステレオ |
早送り・巻戻し時間 | 約2分30秒(C−60使用時) |
周波数特性 | 40〜12,000Hz |
実用最大出力 | 総合30mW(15mW+15mW) EIAJ/DC ヘッドフォンインピーダンス:35Ω時 |
出力ジャック | ヘッドフォンジャック2個(ステレオミニジャック) 定格出力 0.04V(−28dB) 8Ω負荷時 負荷インピーダンス 8Ω以上、300Ω以下 |
電源 | DC 3V、乾電池UM-3型(IEC呼称R6)2個 または別売バッテリーパックBP−33使用 外部電源ジャック 定格 DC 3V 別売りACパワーアダプターAC-31を接続して、AC 100V、 別売りカーバッテリーコードDCC-127Aを接続して12V 自動車バッテリーから使用可能 |
消費電力 | AC 4.8VA(50Hz)、AC 3.7VA(60Hz) ACパワーアダプターAC-31使用時 |
電池寿命 | ソニー乾電池スーパーSUM-3Sで、約2.5時間、 ソニーエバレディ乾電池アルカリAM3で約8時間 連続再生可能 |
大きさ | 88×133.5×29mm(幅/高さ/奥行) 突起含まず |
重さ | 390g(乾電池含む、他の付属品含まず) |
付属品 | カセットテープ(両面録音済み) ソニー・エバレディ乾電池アルカリAM3 ステレオヘッドフォン キャリングケース (肩掛けベルト、カセット・電池ケース付) |
現在のウォークマンと異なる点は、ヘッドホン端子が2個搭載されているとこ ろである。付属のヘッドホンと同じMDR−3L2ステレオヘッドホンを追加す ることで、2人が同時に聞くことができた。またHOT LINEボタンという ユニークな機能が付いていたことでも有名である。このボタンを押すと、本体に 内蔵されたマイクが音を拾ってヘッドホンに出力するため、テープを聴きながら 会話ができるというギミックだ。 録音機能もオートリバースも付いていないので、構造的には極めて単純な構成 となっている。ボリュームは、左右のバランス調整も兼ねたスライド式である。 またトーンスイッチも付いており、ドルビーNRをONにして録音されたテープ を聞く際には、このスイッチをLOW側に設定する。 電源は単三乾電池2本駆動であるが、ACアダプタやカーバッテリーからも電 源を供給することが可能だ。テープカウンターに相当する機能は搭載されていな い。規格表を見てもわかるが、周波数特性は結構プアな値である。当時としては これが精一杯であったのだろう。また付属品の中に「録音済み」のカセットテー プが1本付いてくるというのも、なかなか面白い。このデモ用テープには、一体 何が録音されていたのか、今となってはちょっと気になっている。