■台湾のマザーボードメーカー、JUKO Electronics Industrial Co., LTD. 社 製 IBM/XT 互換マザーボード、JUKO Super Turbo ST Motherboard ST-12。 1989 年 10 週製造。シリアル番号は 4219974。 ■ボード左上の、キーボードコネクタ近傍に位置する「JUKO ST-12」というシ ールが貼られたチップが CPU である。CPU には 8088 の代わりに、その互 換製品である V20(12MHz)を使用し、純正 PC/XT よりも高速な動作を実現 していた。CPU 上部にあるソケットは、8087 コプロセッサ実装用のもの。 ■純正の IBM PC/XT では、汎用 TTL を多用していたが、この製品では ASIC を用いて集積化を図っている。そのため、ボード上はすっきりとした部品配 置となっている。 ■ボードのシステム設定は、PC/XT と同様に 8 連 DIP スイッチで行なう。 ■ボード左下にある「JUKO ST」と書かれたチップが、BIOS ROM。 ■以下にボードのスペックを示す。
CPU | V20 |
CPU Clock | 12MHz |
Co-Processor | 8087 コプロセッサ用ソケットを実装 |
Chip Set | ・VDL 社製 ASIC チップ(各種制御ロジック) ・NEC D8253C-2 : タイマ・コントローラ ・UMC UM8259A-2 : 割り込みコントローラ ・UMC UM8237AE-5 : DMA コントローラ |
Momory | ・414256 用ソケット×8 ・41464 用ソケット×4 ・41256 用ソケット×4 ・4164 用ソケット×2 |
Bus | XT バススロット8本搭載 |
BIOS | JUKO BIOS Ver 2.31 |
製造 | 1989 年 10 月製造 |
■VDL 社製 ASIC チップの拡大写真。 このチップの使用により、汎用 TTL の個数が大幅に減少している。 ■ASIC チップは、1988 年 40 週製造。100 Pin QFP パッケージを採用。
■汎用 LSI チップのアップ。 8253 タイマ・コントローラ、8259 割り込みコントローラ及び 8237 DMA コ ントローラの各チップが見える。当時はまだ、これだけの機能を、1個のカ スタム ASIC 中に内蔵することができなかったため、この部分は、汎用 TTL を使用している。
■コメント このマザーボードは、筆者の知人から頂いたもので、IBM XT 互換マザーボー ドという珍しい製品です。知人は商用で台湾に行った際、JUKO 社を訪問し、 代表取締役からサンプルを頂いたということでした。8088 を使用していた当 時の IBM PC/XT マザーボードと比較して、本マザーボードでは 12MHz の V20 を使用しており、スピードアップが図られています。そのせいか、ボードの名 称は、「JUKO Super Turbo ST Motherboard ST-12」というように、「Turbo」 という表現が付いています。この製品の他にも、CPU クロックが 15MHz のタ イプ存在したようでした。JUKO 社の代表取締役は、このボードを速い速いと いって自慢していたそうです。 メモリは当然まだ SIMM といった概念は無く、DIP パッケージの DRAM を実装 していました。このボードでは、メモリはソケットのみが実装されており、チ ップは搭載されていません。 IBM 互換機のボードというと、IBM PC/AT 以降の製品が多いようですが、この ように IBM PC/XT 互換ボードというものも発売されていました。コンパクト にまとまっており、レイアウト的にもキレイな良いボードだと思います。
Copyright (C) Studio Pooh & Catty 2001-2003 |