■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社のSocket7マザー ボード、M559。ベビーATサイズのボードで寸法は22×22cm。 1997年後半の製造。同社の低価格マザーボードの代表作である。 ■チップセットにVX Pro−IIを搭載。同チップはUtronというベ ンダーが供給したもので、2チップ構成。チップの型番は下記の通り。 ・HT82C371USB−II(97年47週製造) ・HT82C437VX−II (97年48週製造) ■intel Pentiumの他に、Cyrix/IBM、AMD、IDT の各CPUが使用できた。CPUクロックのサポート範囲は75〜233 MHz。外部バススピードは50/60/66/75MHz。 ■ISAバスを2本、PCIバスを4本搭載。72Pin SIMMスロット を4本、168Pin DIMMスロットを2本搭載していた。メモリの最 大搭載容量は128MB。 ■オンボードで512KBのレベル2PBSRAMキャッシュメモリを搭載。 キャッシュメモリチップにはUT6164C64AQ−6を使用。 ■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1 及びサウンド機能。サウンドチップは3D Sound Proを搭載して おり、HRTFポジショナルオーディオやSPDIF入出力を備えていた。 当時、低価格のボードで多機能のオンボードサウンドチップを搭載した製品 は皆無であり、M559は珍しい存在であった。 ■BIOSはAMIのWINBIOSを搭載。 ■以下にボードのスペックを示す。
CPU | intel Pentium P54C/P55C(MMX)、AMD K5/K6 IDT C6、Cyrix/IBM 6x86/6x86L(M1)/6x86MX(M2) |
CPU Clock | 75 〜 233 MHz |
BUS Clock | 50/60/66/75 MHz |
Cache Memory | 512KB PBSRAM L2 Cache 搭載 |
Chip Set | ・Utron VX Pro-II Chipset HT82C371USB-II / HT82C437VX-II |
Momory | 168 Pin DIMM スロット×2 72 Pin SIMM スロット×4 最高 128 MB まで搭載可能 |
Bus | PCI×4本、ISA×2本搭載 |
Super I/O | COM1 , COM2 , LPT1 , FDD Primary-IDE , Secondary-IDE , 3D Sound |
BIOS | AMI WINBIOS |
■コメント M559は、PC CHIPS社の低価格普及版マザーボードの代表作でし た。本ボードが発売されたのは1997年の後半ですが、同じ年に同社は、 intel 440LXチップセットを用いたSlot−1マザーボード、 M710を発売しています。M559は仕様的にもこなれたマザーボードと言 えましたが、低価格マザーボードとしては珍しく、本格的なサウンドチップを オンボードで搭載していました。Sound−Proと呼ばれるこのチップは 同社の特徴の一つともなっており、3Dサウンドを構成できた上、SPDIF 入出力までカバーしているというマニアックな仕様となっていました。当時の 濃い系のパソコン雑誌、例えばPC WAVE誌等では、いち早くこのことに 注目し、インターフェスケーブルを自作する記事も見受けられたものです。 intelの他にも、Cyrix/IBMやIDT、AMDなどといったイ ンテル互換のCPUを使用できたことも、魅力でした。使用できるCPUの種 類からも、当時の熾烈な互換CPU戦争を垣間見ることができます。メモリに SIMMスロットが搭載されていることや、最大メモリ搭載量が128MBと いったところに、時代を感じることができます。
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