■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社のSocket7マザー ボード、M573。ベビーATサイズのボードで寸法は22×22cm。 1998年前半の製造。 ■チップセットにTX Pro−IIIを搭載。同チップは台湾のチップセッ トメーカー、VIAが供給していたもので、4チップ構成。チップの型番は 下記の通り。 ・PC82C437TX+(1998年10週製造) ・PC82C371USB(1998年10週製造) ・PC82C438TX+(2個使用:1998年10週製造) ■intel Pentiumの他に、Cyrix/IBM、AMD、IDT の各CPUが使用できた。CPUクロックのサポート範囲は75〜233 MHz。外部バススピードは50/60/66/75MHz。 ■ISAバスを2本、PCIバスを4本搭載。72Pin SIMMスロット を4本、168Pin DIMMスロットを2本搭載しており、最大メモリ 搭載容量は384MBとなっていた。 ■オンボードで512KBのレベル2PBSRAMキャッシュメモリを搭載。 キャッシュメモリチップにはUtron社製のUT6164C64AQ−6 (1998年04週製造)を1個使用している。このチップはワンチップで 512KBのキャッシュメモリを構成しており、同社マザーボードには良く 採用されている。 ■オンボードI/Oは、IDE2系統とFDD、シリアル×2、パラレル×1 USB×2、PS/2及びサウンド機能。I/O制御チップには、iTE社 製IT8661F(1998年08週製造)を搭載。USBとPS/2は、 オプションのATXフォームカードを使用することで提供可能となる。 ■サウンドチップは3D Sound ProPCI版(HT1869V+: 1998年08週製造)を搭載しており、PC98オーディオに準拠。 HRTFポジショナルオーディオに対応していた。 ■BIOSはAMIBIOSを搭載。 ■以下にボードのスペックを示す。
CPU | intel Pentium P54C/P55C(MMX)、AMD K5/K6 IDT C6、Cyrix/IBM 6x86/6x86L(M1)/6x86MX(M2) |
CPU Clock | 75 〜 233 MHz |
BUS Clock | 50/60/66/75 MHz |
Cache Memory | 512KB PBSRAM L2 Cache 搭載 Utron:UT6164C64AQ-6 使用 |
Chip Set | ・VIA TX PRO-III CHIP SET PC82C437TX+ (1998/10) PC82C371USB (1998/10) PC82C438TX+ (1998/10)×2 |
Momory | 168 Pin DIMM スロット×2 72 Pin SIMM スロット×4 合計最高 384 MB まで搭載可能 |
Bus | PCI×4本、ISA×2本搭載 |
Super I/O | COM1、COM2、LPT1、FDD、Primary-IDE、Secondary-IDE 3D Sound、PS/2、USB1、USB2 |
BIOS | AMI BIOS |
■コメント 台湾のチップセットメーカーといて有名はVIA社製のTriton FX 互換チップセットを搭載したマザーボード、M573です。使用しているチッ プセットは4個で、その型番の付け方も、intel Triton FXチ ップセットそのものとなっています。このチップセットを、VIAではTX PRO−IIIと命名していました。チップセットの各機能は、下記のように なっていたと思われます。 ・North Bridge(3個構成) ホストPCIブリッジ :PC82C437TX+ データバスユニット :PC82C438TX+ ・South Bridge(1個構成) PCI−ISAブリッジ:PC82C371USB 製品のスペックは、低価格マザーボードの代表作であるM559と良く似て いますが、オンボード搭載されているサウンドチップのバージョンがアップさ れていることと、オプションのATXフォームカードによりUSBインターフ ェスが提供されていたことが異なります。サウンドチップは、当時流行ってい たSPDIF I/Fを搭載したものでした。サウンドチップ上にわざわざ PCIの捺印を入れる等、従来よりも性能が上がっていることをアピールして いました。 IDEインターフェスはUDMA33を搭載。72Pin SIMMと 168Pin DIMMのメモリモジュールをオートバンキング機能で認識す る等、過去の資産を有効に活用できる仕様となっていました。チップセットは intelのTriton FX互換を取ったため、4個構成になっており、 ボードの集積度としては今ひとつでしたが、当時としては一般的な仕様であり サウンドがオンボードになっていることで、コストパフォーマンスとしては優 れた製品だったと言えます。 なお、掲載した製品カタログでは、L2キャッシュメモリチップが2個構成 になっていますが、実際のボードでは1個に集積されています。このボードに 用いられているL2キャッシュチップは、1個で512KBの容量を持つもの で、この頃のPC CHIPS社製品に良く採用されていたものです。
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