■台湾のマザーボードメーカー、PC CHIPS社製Slot1搭載のシス テムボード、M710。1997年46週製造。バージョンはV3.1。 ボードの寸法は30.5×22cm。ATXフォームファクタを採用。 ATX規格登場初期のマザーボードである。 ■intel i440LXチップセットを使用。チップセットの型番は、 FW82443LXとFW82371ABの2チップ構成。共に1996年 の製造。 ■PentiumII 233〜333MHzのCPUをサポート。 ■x1、x2のAGPポートを搭載。PCI Rev2.1のPCIスロット を4本、ISAスロットを3本搭載。IDEはUltra DMA/33、 Bus Master Mode2をサポート。 ■168Pin DIMMスロットを3基搭載。8/16/32/64/12 8MBのSDRAM/EDOを、最大384MBまで実装可能であった。 ■L2キャッシュはPentium−II SEC(Single Edge Contact)カートリッジに内蔵されている512K/256KのPB SRAM。 ■HDD I/Fを搭載。認識可能はHDD容量は、528MB〜8.4GB まで。Ultra DMA/33を搭載。 ■オンボードでマルチI/Oチップを搭載。2シリアル(NS16550互換 )、1パラレル(EPP/ECP)、PS/2、USBをサポート。 ■BIOSはAMIを搭載。 ■主な使用デバイスは、下記の通り。 ・FW82443LX:チップセット ・FW82371AB:チップセット ・IT8679F:I/O制御 ・IT8687R:I/O制御 ・ICS9148BF:クロックジェネレータ ■以下にボードのスペックを示す。
CPU | Pentium-II(Slot-1) |
CPU Clock | 233 〜 333 MHz |
BUS Clock | 60/66 MHz |
Chip Set | ・ホストPCIブリッジ:82443LX(492ball-BGA) ・PCI-ISAブリッジ:82371AB(PIIX4 324ball-BGA) |
Momory | 168 Pin DIMM スロット3個搭載 最高 128 MB まで拡張可能 |
Bus | AGP ×1本、PCI×4本、ISA×3本搭載 |
Super I/O | COM1 , COM2 , LPT1 , FDD , Primary-IDE , Secondary-IDE PS/2 Mouse, USB1 , USB2 |
BIOS | AMI BIOS |
■コメント intel 440LXチップセットを搭載したPC CHIPS社製のマザ ーボード、M710です。このボードは、Slot−1搭載マザーボードの極 初期の製品です。1997年後半の製造ですが、この頃はまだATフォームフ ァクタのマザーボードが広く用いられていました。そんな中で、Pentiu m−IIが使用できるATXフォームファクタのマザーボードは珍しい存在で あまり種類も出ていませんでした。 チップセットにはintel純正の440LXを採用しています。ノースブリ ッジ、サウスブリッジの2個で構成され、どちらもBGAパッケージのチップ です。ホストPCIブリッジを構成するノースブリッジには、FW82443 LX(492ピンBGA)を、またPCI−ISAブリッジを構成するサウス ブリッジにはFW82371AB(324ピンBGA)を搭載しています。 外部クロックは60/66MHzで、最大2プロセッサのSMP構成が可能で した。DRAMにはEDO−DRAMとSDRAMが使用可能で、SDRAM は最大512MBまで、EDOは最大1024MBまで搭載することができま した。AGPは×2モードが使用可能で、USBも2ポート搭載、またISA バススロットも最大5つまで搭載可能等、当時としては奢った仕様になってい ました。 CMOSバックアップ用のリチウム電池を良く見ると、「JAPAN STD 」なる表記が見えます。電池の規格はCR2032で、一見いかにも日本製の ように見えますが、実はこれは中国製の電池。STDの意味は、Standa rdのことで、「日本の電池の規格に準拠して作ってある」という意味なのだ そうです。こんなところがいかにも怪しくて、面白いですね! ボードの機能としては、今となってはどうということもないスペックですが、 当時としてはハイエンドの製品でした。Slot−1マザーボードとしては最 初期の製品であるため、純正intelのチップセットを使用していますが、 その後ALiやSISといった台湾のデバイスメーカーから、コストパフォー マンスの高いintel互換のチップセットが続々と出回るようになり、PC CHIPS社製マザーボードにも搭載されて行きます。 なお、M710では1個であったSlotを2個搭載したマザーボードが、 M720として発売されています。こちらもM710と同様、intel 440LXチップセットが搭載されていますが、DIMMを4本搭載可能とす る等、若干のスペックアップが図られていました。
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