PC CHIPS M916 (1994)

写真1:PC CHIPS M916 MB 表面

写真2:PC CHIPS M916 MB 裏面

■CPUにUMC社製U5SX486−33F/40をオンボードで搭載した
 マザーボード。1994年11月製造。本ボードは残念ながら日本では発売
されなかったという幻の製品。                     
■マザーボード上には、208ピンプラスチックQFPのCPUがボード上に
 直接ハンダ付けされている。またその隣には、セラミックPGAタイプの 
CPUも搭載できるように、ランドが設けられている。          
■基板寸法は22×17cmと超小型設計。チップセットはPC CHIPS
 社のシールに覆われているため、型番は不明。「PC CHIPS 18」
 と書かれたチップは208PinのQFP。PC CHIPS 16と書か
 れたチップは80PinのQFP。                  
■ISAスロット5本、XTスロット1個の古典的な構成。2次キャッシュメ
 モリは搭載されていない。メモリは30PinのSIMMを4個、72Pi
 nのSIMMを1個搭載可能。                    
■CPUはUMC社が開発したintel486SX互換のもので、inte
 l社純正よりもパフォーマンスをアップしたもの。CPUクロックは40M
 Hzであるが50MHzでも安定した動作が可能であった。CPU上には 
 「Microsoft Windows COMPATIBLE」という文
 字と、Windowsのロゴの捺印がある。94年41週製造。開発は93
 年となっている。「Patents Pending」の表記あり。   
■CPUクロック設定は33/40/50MHzの3段階が可能。     
■BIOSはAWARD製。キーボードコントローラー用CPUは、チップセ
 ットに内蔵されているため、ランドのみが残っている。         
■主な使用デバイスは下記の通り。                   
 ・U5SX486−33F/40:UMC社製CPU          
 ・UM9515−01:UMC社製                  
 ・PC CHIPS 18:チップセット(詳細型番不明)       
 ・PC CHIPS 16:チップセット(詳細型番不明)       
 ・AWARD:BIOS ROMチップ                
■以下にボードのスペックを示す。                    
項 目
内 容
CPU UMC U5SX486-33F/40(オンボード搭載)
CPU Clock 33/40/50 MHz
外部バスクロック 33/40/50 MHz
Chip Set PC CHIPS 社製(詳細型番不明)
Momory
72 Pin SIMM スロット1基
30 Pin SIMM スロット4基
2次Chche 無し
Bus ISA × 5本、XT × 1本搭載
BIOS AWARD BIOS

写真3:ボード上に実装された U5SX486-33F/40 CPU
ウインドウズコンパチブルのマークが怪しい!

写真4:PGA 版 CPU を搭載するためのランド

写真5:左側チップは AWARE BIOS。
右側のランドはキーボードコントローラ用のもの。

写真6:PC CHIPS 社のシールが貼られたチップセット

写真7:セラミック版 U5S-SUPER33 CPU

■コメント                              
このマザーボードは日本では発売されなかった幻のマザーボードです。   
PC CHIPS社が1994年に発売したM916Bマザーボードは、ボー
ド上にCPUを実装した製品です。当時は80486(33/50MHz)が
全盛の時代でしたが、intel社のCPUは価格が非常に高く、気軽に買え
る代物ではありませんでした。パソコンのコストダウンを目指す台湾メーカー
は、低価格CPUの開発を始めました。このボードに搭載されたCPUは、台
湾のチップセットメーカーとして有名なUMC社が、80486SX互換とし
て開発したものです。SX互換品ということで、形状はQFPパッケージとな
っていますが、DX互換製品であるU5S−SUPER33というCPUもあ
りました。写真7に掲載した製品がそれで、80486DXとピン互換性があ
り、そのまま挿して使うことができました。パフォーマンスも若干高速化され
ており、クロックアップにも良く耐えた記憶があります。         

このCPUですが、曰く付きの製品でした。開発に当たっては、当然インテル
社製品のリバースエンジニアリングを行ったと思われますが、特許問題を完全
にクリアしていたかどうかは疑問です。その証拠に、セラミック版のCPUの
表面には、「Not for U.S. sale or import」と
いう記述があるのです。東南アジアだけ流通させ、なるべく面倒なことになら
ないようにという配慮が見受けられます。因みに、このCPUが裏モノとして
しか出回らなかったかというと、そうではないようです。オークション等を見
ていると、非常に稀ではありますが激レアものとして掲載されたことがありま
した。また1994年当時、台湾に出張に行った友人は、台北の空港に、この
「GREEN CPU」の巨大な宣伝広告をたくさん見たと話していました。
いずれにしても、この頃のマザーボードが製品的に怪しくて、一番面白かった
ような気がします。。。。                       

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