俺と500 #1
2002年9月20日午後4時45分14秒撮影。背景は、見渡す限り広がっている、丸ヶ崎町近郊の広大な田圃。ちょうど収穫の時期を迎えた頃の撮影である。


■500 (2005/09/07)

 最近、パソコン関係のネタが多いので、たまには他のことを書いてみる。FIAT 500、チンクェチェントについてである。暑い日が続くので、クーラーの無いチンクェチェントには、いくら好きでもそうそう乗れない日々が続いている今日この頃なのだが、これからの季節は絶好だ!ようやく「熱地獄」ドライブから解放されると思うと、今から楽しみでしょうがない。
ヽ(´ー`)ノ

 ところで、筆者は仕事の関係上、主に週末しかチンクェチェントをかまってあげられないのだが、ドライブするところは毎回大体決まっている。自宅近くには善福寺公園や井の頭公園といった緑豊かな場所があるので、その周辺をワケもなく走り回り、〆でスーパーに立ち寄って買い物をして帰還する、といったルートが、一般的だ。
(´ー`)у-〜

 先日、いつものように公園沿いの道を走っていると、1台のスーパーカブが後ろに付いた。カブのドライバーはオジサンである。最初は気が付かなかったのだが、いつまでたっても、一定の距離を置いて後を走っている。別にアオるわけでも無い。筆者のドライブルートは、上記のように勝手気ままに走り回るため、そのトポロジーは複雑怪奇で全く意味を成していない。スーパーカブのルートがたまたま同じであった、という理由は極めて考えにくく、明かに「つけて」いるとしか思えないのである。まるでストーカーだ・・・
ヽ(`Д´) ノ

 筆者の運転はおとなしいし、からまれるようなハシリもしてないし、道路交通法はきちんと守っているしと、車両の点検整備は完璧だし、ウインカーも故障していないし、ブレーキランプもきちんと点灯する。どう考えてもつけてくる理由がワカラン。そうこうしているうちに、赤信号で停車することになった。その際、くだんのスーパーカブが、チンクェチェントの横に停車し、オジサンが声をかけてきた。「このクルマは何ccなんです?」と。
ヽ(´ー`)ノ

 事この期に及んで、ようやくこのオジサンが、クルマが珍しいのでつけてきたということが判明したワケだ。「メーカーは?」「運転し易いですか?」「何時の製造?」といった短い会話の後、「面白いクルマを見せてくれて、どうもありがとう!」とオジサンは去っていった。
┐(´ー`)┌ヤレヤレ

 実際、チンクェチェントに乗っていると、声をかけられることがメチャ多い。子供なんか、指さしまくりで叫んでたりする!ガソリンスタンドでの給油の際は、必ずといって良いほど、何らかの会話がある(そのほとんどが、「このクルマ、給油口ってどこッスか?」)。これほど会話に事欠かないクルマというのも珍しい。若い世代には、やはり「ルパンのクルマ」という認識が強いようであるが、40歳以上、とくに高齢の方の注目度の方が、むしろ高い。もちろん、好意的な見方ばかりでは無いのも事実。ある知人は「ポンコツ」と言い切り、ある人は「下取り不可能なクルマ」と評価する。エアコンは付かないのか?高速道路でマトモに走れるのか?といった愚問も多い。

 価値観が異なる連中は、放っておくしか無い。だいたい、チンクェチェントのようなクルマに、クーラーだの最高速だの、そのようなことを求めること自体が間違いなのだ。このクルマが誕生した時代、まだ世界は貧しく、庶民の移動は自転車か、良くてバイクであった。チンクェチェントが出現し、普通の人でも車で移動できるようになったというコトは、当時としてはものスゴい出来事だったのだ。狭くても遅くても、そこには色々と楽しいコトや可能性が、きっといっぱい詰まっていたのだよ。その頃の、ある意味基本的な考え方、生き方を、この飽食で使い捨てで没個性の時代に思い出させてくれるのが、チンクェチェントというクルマなのだと、筆者は考える。

 いや別に小うるさく説教するつもりは毛頭ないのだが、デカくて速くてみんな同じカッコウしてて、ブランドもののクルマに乗ることだけしかアタマに無い、超没個性的ドライバーが、こうも多く跋扈する国というのも、なんだか情けない。今時、大手企業であれば、新入社員ですらベンツやらBMWを買える時代だ。ミナサン、何か大切なモノを忘れてはいないだろうか?

俺と500 #2
撮影のタイムスタンプを見ると、2002年11月2日午後5時10分42秒とある。このコラムでも掲載した、さいたま市丸ヶ崎の薬師堂にて撮影。秋のなが〜〜〜く延びる影がチンクェチェントに写り込んでいる。この年は、ちょうどこれからが紅葉の見頃といった感じだった。

 、、、とまあ、とりとめの無いことを書いてしまったのだが、本ページに掲載した写真は2〜3年前に撮影したもの。筆者は写真を撮るのは大好きだが、撮られるのは大嫌いだ。しかし「影」は別、ということで、チンクェチェントに自分の「影」を投影してみた。ちょうどこれからの季節、秋の夕暮れ時に撮影したものだ。自分のWEB上に、たとえ「影」とは言え自分の姿を掲載するのは、これが始めてである。

 コイツ(チンクェチェント)との付き合いは長い。しかし、今まで決して裏切られた気分になったことは無い。どんなに親しい人間ですら、時として裏切るということがある。コイツには、そのようなことは微塵も感じられない。モノにも感情というものが存在するのであれば、筆者とコイツとは、根底で何か通じるものがあるに違いない。今回のコラムは、なんか説教くさくなってしまった・・・・まあ、そんな気分だったってことで、お許し願いたい。

m−_−m

【追記】
 清水草一著「自動車世界遺産」のFIAT 500の回には、面白いエピソードが掲載されている。夜の首都高速を走行中に、取材したチンクェチェントのオーナーが、ベンツにぐりぐりとアオりまくられ、死ぬほど怖い思いをした、というオハナシだ。著者の清水氏はそれを聞いて、「許せないね!ベンツは全部死刑!!」と宣告している件(くだり)を読んで、思わず吹き出した!その通り!だいたい、こんなカワイイ車をアオるなんて、犯罪行為だよ。。。筆者は幸いにして、それほどアオられることは無いが、前に数回経験したことはある。車種は「ベンツ」と「セルシオ」。なんか、すんごく良くわかるよ・・・その気持ち!

┐(´ー`)┌ヤレヤレ

落ち葉と影
2003年11月16日午後1時11分26秒撮影と記録された写真。丸ヶ崎薬師堂の地面に堆積した落葉に、自分の影を投射。なにやら曰くありげな写真に仕上がった。


<< Menu Page


Copyright (C) Studio Pooh & Catty
2001-2005