ウクライナより届いた「小型書留包装物」。いわゆる「Petit paquet Recommande」

■Ukraine様 (2014/05/25)

 留守中に書留が届いたようで、ポストに「郵便物等お預かりのお知らせ」が入っていた。差出人を見ると、「UKRAINE 様」となっている。なんじゃ?これは・・・

 Ukraineは言うまでも無くウクライナのことである。差出人は「Oleg Deshchenko」という人物だ。オレグ・デスチネンコとでも読むのだろうか?とにかく郵便局の配達係の人は、メンドクサイからUKRAINEと書いておいた、というのが真相だろう。

 中身はパンチカードである。その昔、ソ連のメインフレームで使われていたものの未使用品だ。全部で100枚ある。珍しいから上述の人物より購入したのだ。パンチカードについては、本コラム「パンチカード (2010/11/06)」にも取り上げた。フォーマットは「IBM 80欄カード:IBM 80-column card」そのものだ。1枚のカードに80文字の英数字が記録できる。印刷内容はIBMとほぼ同じであったが、カード下部の列番号の表記位置が、IBMでは最下段であるのに対し、ウクライナのそれは8行目と9行目の行間になっている所が異なる。

 さて、パンチカードについては特筆するようなコトは無いのであるが、カードに書かれていたロシア文字から面白いことが判った。カードの右端に、

 《Союзсчеттехника》 − Торез

 という記載がある。この「Торез」で検索をかけたところ、「ウクライナ・ドネツク・トレーズ」と出てきた。さっそくGoogle Mapで調べてみると、このトレーズという街は、今国際社会を振り回している、あの「ドネツク」の、すぐ近傍なのだ。

 ドネツクといえば、おそロシアのプーチンが起こした「勝手に編入事件」で、ウクライナ国軍と親ロシア派組織「ドネツク人民共和国」の武力集団が衝突している場所だ。この05/23にも、33名が死亡する衝突が発生している。そのような物騒な場所で、1985年に印刷されたのが、このパンチカードだったというワケである。因みに、差出人はキエフの在住。キエフも現在、政治的に非常に不安定になっている。しかしこの郵便物、このような社会状勢の中で、良く極東の島国まで届いたものだ・・・

 以下、参考までに、差出人が書いた本パンチカードの来歴を掲載しておく。

 There are 100 pcs cream colored punch cards for vintage USSR Soviet Mainframes in perfect condition (NOS). Many years ago these punch cards were used instead of CD/DVD and Flash drives in Soviet mainframes (series: BESM, MIR, Minsk-32, ES-1060 and others series ES-10XX). One side of the card is printed numbers 0-80 and is blank on the other side of the punch card.

 These Soviet punch cards were created as an analogue of IBM punch cards in period 1960-1980s in USSR. Also similar punch cards were used for first mainframes in USA (IBM series: 704/709/711/709/7094, American machines UNIVAC) and also for others computing systems. With help machines and these punch cards first programmers wrote first programs using programming languages: Cobol, Algol, Fortran, Assembler and others.

 We even saw the first games for mainframe developed with help Fortran and similar punch cards about 15 years ago. This is the last memories of the past era of vintage Computing Technologies and Computing Machinery! This can be very good souvenir and surprise for fans of computer technology. Very good use of these cards for notes and memos.

 If you want, we can change number of these punch cards for the Item in current Lot or create new Lot for you. See also additional photos where you can see applying these punch cards in the Soviet industry. In these photos you can see equipment for work with these punch cards in period 1970-1980s. We have a small amount of punch cards. With each new sale amount of punch cards decreases and the price can rise. Please, see all photos! Small pictures are clickable and can be enlarged for viewing.



差出人の記載。「Oleg Deshchenko」とある。ウクライナはキエフ在住の方。

配達帳票の一部。それにしても、外国郵便の手書きの文字ほど読みにくいものは無い。もうちょっとキレイな字で書けないのかね?

ポストに入っていた不在票。いくら書くのがメンドウだからといって、差出人様欄に「UKRAINE」って記載するこたぁねぇだろう・・・

今回届いた旧ソ連のメインフレームで使用していたというパンチカード。IBM 80欄カードと同一のフォーマットである。
拡大

カードの右端に記載されたキリル文字。
《Союзсчеттехника》 − Торез
「Торез」はドネツク近郊の街の名前であった。

カードの左端に記載されたキリル文字。
このパンチカードは1985年製造であることが判る。

気になったので、「Торез」をGoogle検索してみた。ウクライナ・ドネツク・トレーズと出てくる。

Google Map上での、「Торез(トレーズ)」の街。なんか、長閑な街みたいだ。

もう少し広域を見てみると、ドネツクの隣町であることが判る。ドネツクといえば、今国際社会を騒がしている問題の地域である。

05/23の記事。つい最近でも、ドネツクで武力衝突が発生し、33人の死者が出ていた。


<< Menu Page



Copyright (C) Studio Pooh & Catty
1996-2014